書籍紹介①『父が娘に語る経済の話』

こんにちは、ミノカサゴです。

今回は『父が娘に語る美しく、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話』という書籍の紹介です。

僕がこの本を手にとったのは、アクになる前に経済を勉強しようと思ったからです。元々、僕はセンター試験で倫理政治経済を受ける程度の最低限の知識はありました。が、この本は読んでみて衝撃。読みやすく、面白く、考えさせられる本でした。(まあ、娘に語るようなお話ではないと思いますがw)

何が面白かったかというと大体こんな感じです。

  1. 経済にとどまらず、貧富、国家、宗教、政治、歴史にまで広がる壮大な話
  2. 神話、歴史、名小説など引用が美しい
  3. 作者の経歴や主張が面白い
  4. (恥ずかしながら)信用貨幣の考えが初見だった
  5. 資本主義経済の欠陥を再認識できた

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内容をバラしてしまうとつまらないので、以下で、3と4について本の内容には触れないように紹介しようと思います。

 まず3について。作者のヤニス・バルファキスは、ギリシャ社会民主主義政党の急進左派連合に所属し、ギリシャ危機の際の財務大臣らしいです。この政権はすぐに失脚したらしいですが、債務帳消しと反緊縮を訴えた大臣というのはなかなかインパクトがあります。この本は作者の政治的な主張も多分に含まれている本であり、政治家の信念を知れる貴重な本だとも思います。

次に4について。貨幣というものはよく知っているようで不思議なものです。これについては大きく2つの捉え方があります。商品貨幣理論、信用貨幣理論の2つです。特に主流派経済学では前者をとる立場にあるらしいです。僕もこの本を読む前は、(後者を知らなかっただけなのですが)前者の理論を当たり前だと感じ、疑ってもいませんでした。ただこの本では銀行の正体と国債について、後者の立場で説明しています。

この議論の何が面白いかというと、信用貨幣理論は、今ホットなMMT(現代貨幣理論)の議論につながるからです。僕は、信用貨幣理論も知らなかったくらいに、知識不足なので、今後この分野も勉強したいなぁと思っているところです。

(主流派 vs MMT派の議論ではこの動画がわかりやすかったので一応張っておきます。https://www.youtube.com/watch?v=bh0LG_7KCEw&list=WL&index=24&t=25s

 

アクチュアリー就活(前編)

どうもミノカサゴです

前回はアクチュアリーについて簡単に説明しました。

今回は、アクチュアリーに興味がある人へ向けて、体験談を交えながら、アクチュアリーの就活について書こうと思います。少し長くなるので、前編と後編に分け、前編では就活の流れとインターンについてお話します。

また、最初に注意喚起しておきますが、僕が就活した21卒のときの話なので、今後変わっていく可能性はあると思います。そのため、この記事を鵜呑みにせず、なるべく知り合いとの情報交換の中で、最新の情報をキャッチすることも大事だと思います。

また、各社の名前は出さない方向で書きました。

就活の流れ

まず、アクチュアリーのオーソドックスな就活フローは以下でした。

 インターン選考 インターン参加 ③ フォローアップ企画・各種イベント

 ④ ①~③の繰り返し ⑤ 本選考 内々定(3~5月)

会社によって開催時期や回数に違いはあるものの、ほとんどの事業会社はこのフローで採用行っていました。お堅い金融業界ということもあって、このようなフローや、年間スケジュールは、他業界や他職種とあまり変わりません。

一方で、他職種との最大の相違点はインターンの重要性だと思います。例えば、インターン生限定に早期選考を案内して、通常選考より先に採用してしまう会社や、ほとんどインターンからしか採用しないと噂の立っている会社がありました。なので、アクチュアリー職を目指している就活生はなるべく早めに動きだして、多くのインターンに参加することが大事だと思います。早期選考による早期の内定があれば、以降の本選考に挑む余裕が全然違います....

もちろん、学業との両立が大事なのは言うまでもないので、行ける範囲でいいとは思います。僕もアク試験と研究の関係で、秋インターンには応募しませんでした。(それが正解だったのかはわかりませんが、ご参考までに)

また、僕は参加しませんでしたが、理系ナビのイベントに参加する就活生も多かった印象があります。

 

インターン

インターンの内容

一般にインターンというとその形式は様々で、長期の業務経験、1day の会社説明会、外コンのような本選考など、いろいろあります。では、アクチュアリーインターンとはどんな形かが多いかというと、

 業界&会社説明 アクチュアリーの業務に関する講義とグループワーク 座談会

の構成のものがほとんどです。一部の会社では裏で評価がなされていることもあるらしいですが、表向きはインターンと本選考の評価は切り離されて行われています。

次に事前に必要な知識レベルですが、特に専門知識は必要ありません。簡単な事前課題が課されることはありましたが、インターンでは会社側が学生のレベルに合わせた講義や課題を用意してくださるので、むしろインターンの中で知識をつけることを目指せばいいです。ただし、インターンを有益なものにするために、会社の基本情報や取り組みを事前に調べ、座談会などで質問したい疑問点をまとめておいた方がいいとは思います。質問したからといって本選考で有利になるなどということはまずないと思いますが、最終的に会社を選ぶうえでそうした情報が重宝するはずです。

また、インターンの期間は1day~5daysくらいでした。特に夏インターンは長め、秋冬のインターンは中くらいから短めの規模でやっている傾向がありました。ただ、長いから夏にインターンに行けばいいということではありません。もちろん夏も行った方がいいですが、早期選考の対象者を冬インターン生に限っていることもありましたので、できるだけ多くのインターンに顔を出し、早期選考の権利を勝ち取ることが就活を有利に進めていくうえで大事だと思います。どの企業がどのインターンから早期選考を実施しているかは就活仲間と情報交換しといた方がいいと思います。

インターンに行くメリット

今までに書いてきた以外にも、以下のようにインターンに行くべき理由はたくさんあります。

  1. 早期選考の獲得
  2. 本選考での優遇
  3. 就活仲間・アクチュアリー仲間ができる
  4. 業界研究・企業研究
  5. 内定者や実際に働くアクチュアリーと話ができる

1. と2. はこれまでに述べてきた通りです。ここに細かくは書きませんが、インターン生の優遇の仕方は会社によって異なるので、各会社の情報を仕入れることをお勧めします。(就活は情報戦!

3. についてですが、情報交換する仲間が増えるだけでなく、仲良くなって個別に飲んだりする友達もできます。アクチュアリーが狭い世界なこともあって、就活後や就職後もこうした付き合いは続くらしいです。僕も就活仲間とは就活後でも連絡を取っています。将来転職をするときにも、他社の知り合いが多い方が都合もいいでしょう。

4. についてはかなり当たり前な話ですが、これが甘いと、本選考で落とされる原因になりますし、最後の最後に会社選択で悩むことにもなるのでしっかりしましょう。

5. についてですが、多くの会社では、内定者の方、様々な年次や部門の社員さんに質問ができる機会があります。アクチュアリーについてだけでなく、就活や資格試験などについて聞きたいことが何でも聞けます。ノリのいい社員さんであれば給料や福利厚生まで赤裸々にぶっちゃけてくれることもありました。

インターン選考 

最後にインターンに参加するまでの流れを簡単に説明します。ただし、22卒以降はコロナウイルスや就活の早期化で日程が変わることもあると思います。

  1. 就活サイトに登録(6/1~)
  2. 就活サイトから企業エントリー
  3. 企業ごとのインターンマイページからES提出、適性検査
  4. 面接、選考会、数学試験など
  5. インターン参加

1~3は一般的なものでした。1は個人的にはマイナビで十分でしたが、外資就活やリクナビなどにも登録すればいいと思います。

2については、エントリーすると、アクチュアリー職に関するメールに限らずたくさんのメールが来るので、管理が大変にはなります。しかし、自分の興味のあるイベントのメールも来ますし、登録しておくだけで本選考のマイページ開設が優先的に行えるという(すごい微妙な)特典もあるので、自分次第で登録する数は決めればいいと思います。

3については内容は一般的なものです。締め切りには注意しましょう。

4については、ほとんどの会社が、すべての選考を合わせて、1~2回実施していました。が、実施しない会社もありました。

面接は、ESに沿った質問をする会社がほとんどで、それも短時間で終わるケースが多かった印象です。本選考に比べると、それほど緊張するものではないです。また、今年の本選考でそうであったように、今年以降はweb面接が積極的に取り入れられていくと思います。

数学試験が気になる人も多いと思いますが、インターンの選考で実施されることは少なかった印象です。冬インターンの選考では課す企業もいくつかありました。ただし、数学試験の本番は本選考であり、力試し的な意味合いが強かったのではないかと思います。なので、個人の意見ですが、インターン選考の数学試験の勉強するよりは、アク試験の数学を勉強する方がいいと思います。

 

 

保険とアクチュアリー

どうもミノカサゴです。

今回は初めての記事ということで、アクチュアリーその活躍領域の概観について書こうと思います。アクチュアリーは近年理系のスキルが活きる職種として知名度が高くなっており、今なお活躍の幅が広がっている職ということで、ぜひ就活生の方に興味を持っていただければうれしいです。(そして本社勤務が約束されている点もいいところです)

アクチュアリーとは

アクチュアリーとは、かみ砕いて説明すると、「保険数理の専門家」または「保険専門のデータアナリスト」のことです。

また、日本において正式な意味では、日本アクチュアリー会の正会員のことを指します。しかし、実際にはアクチュアリー試験にまだ合格していなくとも、アクチュアリアルな仕事に携わることはできます。そのため、こうした見習い生も含めてアクチュアリーといっていることもある気がします

ちなみに、アクチュアリー試験は一次試験は共通ですが、二次試験が生保、損保、年金に分かれています。このことから、アクチュアリーには、生保アクチュアリー、損保アクチュアリー、年金アクチュアリーの3種類がいます。しかし、どの科目を選択したとしても、同じ正会員になれるため、資格上の区別はありません。

アクチュアリーの活躍するフィールド

アクチュアリーの活躍する業界は主に三つあります。その三つとはズバリ、生命保険損害保険年金(主に信託銀行)の三業界です。もちろん例外はあります。例えば監査法人共済組合、数理コンサルタントなどです。ただ、広義の解釈をすると、これらも上の三業種の一環に含まれるわけで、アクチュアリーは主にこれらの業界で活躍しているといえるでしょう。

生命保険と損害保険

生命保険と損害保険は似ています。どちらも仕組みは「加入者から定期的に(または一度に)お金(保険料)をもらい、加入者に異常事態が発生したときにお金(保険金)を払う」というものです。(保険料と保険金、紛らわしい!)

二つの違いとして、生保は主にヒトに対する保険(死亡保険や養老保険)、損保はモノに対する保険(自動車保険や火災保険)、なんて言われたりますが、休業補償や傷害保険など両業界にまたがる保険なんかもあったりします。詳しくはテキトーにググって下さい。

ちなみに法律により、生保会社は自動車保険など定番の損害保険は扱えず、損保会社は死亡保険など定番の生命保険は扱えません。こうした法規制によって、どちらかというと損保の方が多様なリスクを扱えます(火災、傷害、船舶、自動車、ホールインワン保険などその他ユニークな保険など)。そのためアクチュアリー就活生の中で、損保を志望する動機としてはこうしたリスクの多様さを挙げる人は多かったです。一方で、生保を志望する動機としては、生保がアクチュアリーの発祥であり重宝されやすいこと人の生死がテーマであり社会性が高いこと多かった印象がありました。

また、生保は、会社数が最も多く、歴史が最も古く、アクチュアリーの数も最も多いです。アクチュアリー全体の6~7割を占めています。一方、損保は、生保に次いでアクチュアリーの歴史が古く、アクチュアリー全体の3割ほどが損保アクチュアリーとなっています。

保険会社に勤めるアクチュアリーの主な活躍部門としては、各種の商品数理部門、経理部門、リスク管理部門の三つがあります。この他にも、資産運用部門、 イノベーション推進部門、IT部門などにアクチュアリーがいることもあるほか、海外の関連会社で働くアクチュアリーもいます。

年金(信託銀行)

日本の年金制度は三階建てです。国民年金公的年金企業年金(と個人年金)の三つです。信託銀行ではこの三つ目の、企業年金個人年金を扱っています。

年金事業の仕組みは、「加入者から定期的にお金(掛金)をもらい、加入者が定年に達したときに(または”から”)お金(年金)を払う」というものです。こう書くと分かると思いますが、保険の仕組みとかなり似ています。このような本質が似ていることから、年金を考えるうえで必要な素養は年金と保険(特に生保)で類似しており、同じアクチュアリーという資格に属しているわけです。アクチュアリー試験も、年金数理と生保数理は似ているらしいです。

注意点としては、企業年金は企業ごとにオーダーメイドに仕組みや掛金、年金額などを決めていくため、企業へのコンサル的な要素が強いという傾向があります。 また、生保会社も企業年金を扱っていることが多いです。(僕は信託銀行の就活をしなかったのですが、この理由は、年金なら生保でも扱えるだろうという考えと、コンサル的要素が強く数理的要素は弱いだろうという考えがあったことです。)

また、年金は、アクチュアリーの歴史が最も浅く、年金アクチュアリーアクチュアリー全体の1割ほどしかいません。

僕は就活であまり信託は見ておらず、具体的な働き方は分かりませんが、おそらく保険と同じような部門があるのだと思います。

共済(JA共済連など)

共済とは、「組合員がお金(掛金)を定期的に払い、組合員にアクシデントが起きたときにお金をもらえる」という仕組みです。このように共済は、年金と同じく、保険とかなり仕組みが似ています。

しかし、保険との違いはいくつかあります。例えば、共済は非営利な事業でなければなりません。また、従う法律も保険と共済では異なっており、共済事業は保険業法に縛られないため、生命保険的なリスクと損害保険的なリスクを両方扱うことができます。そのため、自動車の保障と人の死亡保障といった保険会社では実現できない組み合わせの保障を実現することができます。

アクチュアリーの区分としては、生保、損保、年金しかないため、共済でもこれらのアクチュアリーが働いています。そのため、基本的には保険と同じような仕事内容になります。

コンサル(監査法人と数理コンサル)

事業会社としてアクチュアリーが必要な会社は主に上記の三つですが、この他にもアクチュアリーの活躍フィールドはあります。コンサルタントです。 特にアクチュアリーによるコンサルを積極的に行っている会社には、監査法人(EY, PwCあらた など)と、数理コンサル( Milliman  など)があります。一方でクライアントとなる会社は、主に保険会社や信託銀行であり、アクチュアリアルな業務のコンサルを、第三者のコンサル会社に所属するアクチュアリーが解決しています。こうしたクライアントの幅広さから、コンサル会社では、生保・損保・年金のすべてのアクチュアリーが在籍しています。

また、コンサルの内容は数理モデルの開発や、商品設計、IFRS導入など多岐にわたっており、プロジェクト単位で活動しています。

 また、監査法人ではアクチュアリーは保険会社の監査も行っています。そのため、監査法人アクチュアリーの仕事は、監査とコンサルという二本柱になっています。

このブログについて

1.自己紹介

初めまして、ミノカサゴです。これからゆるゆるとブログを始めようと思っているので、まずは簡単に自己紹介をすると、

  1. 理系院生
  2. 修士二年
  3. アクチュアリーコース内定の21卒

です。とりあえず匿名でやるつもりなので、大学院や研究科は秘密ですが、ざっくりとだけいうと、データ分析系の研究をやってます 。

ちなみになんでミノカサゴって名前なのかですが、写真フォルダ見たときに一番最初に目に入ったのがミノカサゴだったからです。特に深い意味はありません笑

2.ブログについて 

最近コロナウイルスの流行で、僕の大学からも来るな!とお達しがあり、引きこもり生活。生活に色がなくなりつつあります.....

そこで、メモを残しつつ、情報発信しようかなぁと思い、ブログを開設してみました

ということで、今後、アクチュアリー就活、統計学機械学習、趣味 ..... などなど色々書いていこうかなと思っているので興味があればご覧下さい